おめでとうございます。
連合駿台会副会長で日本藝術院会員や日展理事などを務める彫刻家の山田朝彦さん(1966年商学部卒・株式会社日本金属工芸研究所取締役会長)がこのほど明治大学特別功労賞の栄誉に輝きました。
特別功労賞は明治大学の学生、教職員、校友らの中で学術、文化、スポーツなどの分野において顕著なる功績を挙げ、明治大学の教育、研究の振興・発展に寄与したと認められる個人や団体に対し贈られるもので、これまでマラソンの孫基禎、柔道の吉田秀彦、作詞家深田公之(阿久悠)、野球の星野仙一の各氏ら31人が受賞しており、このたびは明治大学マンドリン倶楽部で50年にわたり常任指揮者を務めておられる甲斐靖文さん(1962年法学部卒)とともに受賞となりました。
晴れの贈呈式は5月28日、駿河台キャンパス・アカデミーコモンホールで行われ、山田さんは柳谷孝理事長から賞状と記念メダルを贈られ、大学役員や評議員会議長の田村駿会長を初めとする評議員など出席者から盛大な拍手が送られました。
山田さんは、50年余の制作活動の中で2012年第44回日展出品作「こもれび」が文部科学大臣賞、2015年の改組第2回日展出品作「朝の響き」で日本藝術院賞などに輝くなど数多の受賞歴を誇るとともに、日展や日本彫刻会の理事を務め、昨年は日本藝術院会員を任命されるなど、美術界への長年にわたる功績が高く評価されました。
また、大学にも多大な貢献しておられ、連合駿台会の事務局が置かれ定例会場にもなっている紫紺館が竣工した2006年に作品「SEED」を1階エントランスホールに制作し、さらに本学130周年記念を期してアカデミーコモン入り口に設置した創立者の岸本辰雄先生、宮城浩蔵先生、矢代操先生の肖像と、三木武夫元内閣総理大臣揮毫の建学理念である「権利自由・独立自治」を刻み込んだリリーフ制作にも尽力されました。ご承知のとおりわが連合駿台会のバッジも山田さんにお願いしたものです。
柳谷理事長は祝辞で、山田さんが明治大学時代は柔道部に所属するなど彫刻と全く関わり合いがなかったところから築き上げた偉大にして異色な足跡を称えるとともに、自らも連合駿台会会員として例会に参加する折に、「いつも黙々と受付をやっておられるお姿を拝見して感服している」と、かの手塚治虫氏が恩人の葬儀で自ら望んで受付をしたというエピソードを例に引きながら、その人柄の素晴らしさを絶賛しました。
これを受けて山田さんも謝辞に立ち、彫刻の道に入ったのは大学卒業後の27歳で、父親の勧めで世界を旅した折にローマの美術館でバロック芸術の巨匠ベルニーニの作品を見て衝撃を受けたことによるものだったなどという自らの創作人生を振り返りながら、近代彫刻の父・ロダンの<肝心なのは感動すること、愛すること、希望を持つこと、身震いすること、芸術家である前に人間であることだ>という名言にある感動のように、「学閥なく、自由で、明大気質のような何事にもとらわれることもなくやってきて、楽しくてしようがありません」と今に至る心境を語りました。また、作家の川端康成が遺している<有由有縁>という言葉のとおり、誘われて連合駿台会の前身である茗水クラブに入ったいきさつや、柔道部で稽古に打ち込んだ道場があった小川町校舎の跡地に紫紺館ができたことなど、縁にちなむ思い出の数々も披露してくれました。
そして、このたびの受賞や、先に萩生田光一文部科学大臣(1987年商学部卒)から授与された<日本藝術院会員に任命する>という辞令もたった12文字ながら重く受け止め、「気力、体力、精神力でこれからも!」と決意も新たにしていました。